2026年、鎌倉を走り始めた「鎌倉エシカルトレイン」。
私たちがデザインしたのは、単なるラッピングではありません。
一杯のコーヒーを選ぶこと。
その背景にいる生産者を知ること。
自然や社会について、誰かと話すこと。
そんな日常の小さな選択が、
世界のどこかにいる誰かや、
これからの地球の未来につながっている。
その「つながり」を、
鎌倉の風景の中で感じてもらう。
そんなコミュニケーションを目指しました。
「鎌倉エシカルトレイン」は、国分首都圏株式会社が主催し、鎌倉エシカルラボ、三本珈琲株式会社、鎌倉市が連携して展開するプロジェクトです。
江ノ電という鎌倉を象徴する存在を、フェアトレードやエシカル消費について考える公共的なコミュニケーションの場として活用。
メインメッセージには、「鎌倉から未来へ TSUNAGU やさしい選択。」を掲げています。
私たちは、このメッセージを「読むもの」だけではなく、街を走る風景そのものとして伝えることを考えました。
今回のデザインでは、
木・色・風・キャラクター
という4つの要素を組み合わせました。
それぞれに、
このプロジェクトが伝えたいメッセージがあります。
デザインの中心に置いたのは、コーヒーの木。
しかし、これは単なるコーヒーのイメージではありません。
鎌倉の緑と、遠く離れたコーヒー生産地。
一見すると別々に見える二つの場所を、
一杯のコーヒーを通してつなげています。
そして、身近な「選択」の背景にある環境や
気候変動について考えるきっかけに。
目の前の一杯から、世界の未来へ。
そんなつながりを一本の木に託しました。
ピンクとブルー。
それぞれが持つ従来のイメージをあえて組み合わせ、
固定的な価値観にとらわれない多様性を表現しました。
違うものが共存する。
それぞれの違いを認め合う。
その先にある「誰一人取り残さない」という社会への願いを
色彩で表現しています。
背景を走る波打つライン。
これは、海と山に囲まれた鎌倉の風土から着想しています。
浜から山へ吹く風。
そして、その風に乗って新しい価値が街へ広がっていく。
エシカルという考え方が、
誰か一人のものではなく、
地域全体へ、そして未来へ広がっていく。
そんな願いを一本のラインに込めました。
「エシまる」は、単なるマスコットではありません。
一人ひとりの小さな「選択」を、
次の行動へ導くナビゲーター。
大きなことをしなくてもいい。
一杯のコーヒーを選ぶ。
背景を知る。
誰かと話す。
そんな小さな一歩の積み重ねが、
やがて大きな変化につながっていく。
ハリネズミの姿には、
自分を守りながら、相手も傷つけないという
フェアトレードの精神も重ねています。
今回、私たちが目指したのは、
商品の情報のみを大きく掲げる広告ではありませんでした。
江ノ電に乗った人や
街中で江ノ電を見かけた人が、
「これ、何だろう?」
と思う。
その先に、
「フェアトレードって何だろう?」
「このコーヒーはどこから来たんだろう?」
「自分にもできることがあるかもしれない」
という小さな気づきが生まれる。
そのきっかけをデザインする。
それが、このプロジェクトにおける私たちの役割でした。
デザインコンセプトにおいても、文字による直接的な商品訴求ではなく、
景観と調和するアートワークとして設計し、
公共性の高いメッセージを伝えることを意図しています。
私たちは、デザインを「情報をきれいに見せるためのもの」とは考えていません。
人の見方を変える。
気づきを生む。
誰かの行動を生み出す。
そして、
人と人をつなぐ。
今回の江ノ電は、その考え方を実際の街の中で実践するプロジェクトでした。
江ノ電2003-2053号、1編成2両を舞台に、鎌倉から藤沢までを走る「鎌倉エシカルトレイン」。
毎日、街を走る。
誰かが駅で見る。
誰かが窓から見る。
誰かが写真を撮る。
誰かが「これ、何?」と話す。
その一つひとつが、
エシカルという考え方に触れる入口になる。
デザインが、街の風景になる。
それが、このプロジェクトの大きな意味だと考えています。
PROJECT
鎌倉エシカルトレイン
PROJECT PARTNERS
国分首都圏株式会社 / 鎌倉エシカルラボ
三本珈琲株式会社 / 鎌倉市
DESIGN
澤渡俊仁
CREATIVE FIELD
Concept / Creative Direction / Art Direction / Graphic Design
私たちBeenは、デザインとクリエイティブの力で、
まだ見えていない「つながり」を見つけ、
社会に届くカタチへ変えていきます。